白内障について
1.原因
白内障とは、目の中にあるピントを合わせるためのレンズ(水晶体)が濁ることにより見づらくなる病気です。原因は加齢によるものが多いですが、アトピー性疾患や糖尿病などの病気や、薬や紫外線などの影響の他、目の外傷などにより発症する場合もあります。
2.症状
白内障が発症すると陽射しやライトなどがまぶしく見える、物が薄暗く見える、霧がかかったようにかすむ、ぼやける、ピントが合いにくいなどの症状があります。
3.治療
白内障の治療には薬剤による点眼治療と手術治療がありますが、進行した白内障は薬物では治すことができず、手術が必要となります。
4.白内障の手術
白内障の手術は当院では日帰り手術を行っています。
- <白内障の手術の流れ>
- 1)手術日の朝より点眼薬をつけて瞳孔を開いておきます。
- 2)手術室へ入室前に点眼麻酔を行います。
- 3)手術室に入室すると目のまわりの皮膚とまぶた、および目の消毒を行います。
- 4)目と顔を清潔なシートで覆い、開瞼器を使い目を開け、テノン嚢麻酔(局所麻酔)を行い、手術を開始します。
- 5)角膜のそばに創口を作成し、超音波乳化吸入術にて濁った水晶体を細かく破砕・吸入し取り除きます。
- 6)創口より眼内レンズを折りたたみ、水晶体のあった位置に挿入します。
- 7)最後に創口と眼の状態を確認し眼帯をして手術を終了します。
手術時間は10~20分程度です。白内障の進行度やその周辺組織の状態により変わることがあります。
手術後は病室で30分安静にしていただき、状態が安定していることを確認したうえで帰宅していただきます。
超音波水晶体乳化吸入術
5.術後の検診
術後は定期的な検査が必要になります。
術後の視力の回復や視機能の安定には個人差もあります。
また、合併症などが発生した場合にも定期検診により早期段階での発見、処置により回復、重症化を予防できます。
手術後1~6カ月は手術後の炎症を抑えたり、感染の予防のために医師の指示通りに点眼薬を使用します。
仕事への復帰は早い時期にできますが、患者さんの全身状態や仕事の種類によって違ってくるので医師に相談してください。
6.合併症
白内障手術は以前に比べて手術時間も短くなり、より安全になってきましたが合併症は 全くなくなったわけではありません。
早期合併症としては水晶体嚢の破損、チン小体の断裂、眼圧上昇、出血、網膜剥離、黄斑浮腫、眼内レンズの偏位、感染性眼内炎などがあります。この中で最も重要な合併症が感染性眼内炎です。術後経過がよかったにもかかわらず急激な視力低下を生じる場合があり、早急に適切な処置を行えばよいですが、怠れば失明に至る可能性もあります。このため術後の定期検診をしっかりいただくことが必要になります。
後期合併症には、術後数カ月~数年を経過して起こるものに後発白内障があります。後発白内障はレーザー手術で処置をすることで痛みもなく処置が可能です。
後発白内障のレーザー治療
白内障の手術後、数か月~数年して、また「まぶしくなる」「目がかすむ」ことがあります。これは、「後発白内障」といわれるもので、手術の際に残しておいた水晶体の後嚢が濁ってくるために起こります。
後発白内障は手術の必要がなく、レーザーを使って簡単に濁りを取ることができます。視力はすぐに回復し、入院の必要もありません。